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耐震を起点に考える断熱改修|築49年住宅の性能向上リノベ実例(岡崎市)

耐震を起点に考える断熱改修|築49年住宅の性能向上リノベーション(岡崎市)

前回の記事では、断熱改修を考える際の基本的な判断軸について整理しました。
まだお読みでない方は、 こちらの記事 から先にご覧ください。

今回は、築49年の住宅で行った性能向上リノベーションの実例を通じて、
当社がどのように断熱計画を組み立てたのかを、
実際の判断の流れに沿ってご紹介します。
耐震補強を最優先に進める中で、断熱をどのタイミングで、どこまで組み込んだのか。
具体的な考え方をお伝えします。


事例概要|旧耐震住宅の性能向上リノベーション

この住宅は築約49年の旧耐震基準住宅でした。
そのため、今回の工事では断熱よりも先に耐震補強が最優先課題となりました。

ご家族の暮らし方に合わせ、

  • 耐震性能の確保
  • 断熱性能の向上
  • 間取り変更
  • バリアフリー化

を同時に検討し、全面的な性能向上リノベーションを実施しています。

今回ご紹介している住宅の詳しい施工内容や、工事前後の様子は、 こちらの施工例ページ でご覧いただけます。


まず整理した「前提条件」

この実例の断熱計画は、
「断熱をやりたいから始めた計画」ではありません。

最初に整理した前提条件は次の2点です。

  • 旧耐震住宅のため、耐震補強が必須
  • 耐力壁を増やす必要がある

この条件によって、取り得る断熱手法は自然と絞られていきました。


① 耐震補強に伴う窓計画と断熱窓

耐震補強では、耐力壁を確保するために
窓を小さくする、または無くす必要があります。

この住宅でも、

  • 既存の窓は大きく
  • 耐震上、不利な配置

となっていたため、窓の計画を見直しました。

その結果、

  • 窓を小さくする
  • 取り替えるなら断熱性能の高い窓を採用

という判断になり、結果として「窓断熱」が行われています。

ここで重要なのは、
「窓断熱を最初から目的にしていたわけではない」という点です。
耐震を成立させるための設計判断の延長線上に、
最も合理的な断熱窓の選択があった、という位置づけになります。

耐震補強に伴い断熱窓を採用したリノベーション事例

② 水まわりの窓計画と断熱

既存のトイレ・洗面・浴室には、
いずれも大きな窓が設けられていました。

しかし、

  • 耐震上、壁量を確保したい
  • 水まわりの寒さを改善したい

という理由から、これらの窓は撤去し、壁に変更しています。

その際、

  • 壁内部に断熱材を施工
  • 外気の影響を受けにくい計画

とすることで、水まわりの温熱環境を大きく改善しました。

これも、断熱単独の判断ではなく、
耐震と暮らしやすさを同時に考えた結果です。

水まわりの断熱と耐震を考えたリノベーション

③ 耐震補強のための解体と躯体断熱

耐震補強工事では、床・壁・天井を解体する必要がありました。

この「解体が前提の工事」であったことが、
断熱計画において大きなポイントになります。

床下・壁内部・天井裏に断熱材を確実に施工できるため、
追加コストを抑えながら、断熱性能を大きく向上させることが可能でした。

断熱だけを後から行う場合と比べ、
工事効率・費用対効果ともに高いタイミングです。


間取り変更と断熱の関係

この実例では、性能向上と合わせて間取り変更も行っています。

  • 独立キッチンから対面キッチンへ
  • 洗面・浴室の段差解消
  • 寒さの原因となっていた浴室環境の改善

これらは単なるデザイン変更ではなく、
断熱・耐震・生活動線を一体で考えた計画です。

結果として、住み心地の改善と断熱性能向上が同時に進みました。


まとめ|この実例の断熱判断ポイント

  • 断熱より先に、耐震という前提条件を整理した
  • 耐震補強の設計判断が、結果として断熱性能向上につながった
  • 解体を伴う工事では、躯体断熱を同時に行うのが合理的

断熱は、ただ「やりたいから行う工事」ではなく、
建物の条件や工事内容を整理したうえで、
最適な形を判断していくものです。

当社では、家の状態と優先順位を整理したうえで、
最も無理のない形で断熱性能を組み込んでいます。

次回は、
大きな解体を行わずに断熱性能を改善する方法について、
実務の視点から解説します。

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